- 2008-07-31 (木) 3:08
- Diary
「現在の経済学は完全ではない」どころか、非科学的な間違いが中心部に巣くっているというのが経済学の実態であり、多くの経済学者は、そのことから無意識的あるいは意識的に目をそらしているように見える。 「ニュートン力学のサルマネをしてしまった経済学」でもふれているが、取引費用を無視したモデルを作ることはできても、そのモデルを取引費用のある現実の経済に適用することはできない。それは数学法則、論理法則の無視にほかならない。均衡モデルを現実の経済に適用しようとするのは、数学法則、論理法則の無視にほかならない。
まったくもってそのとおりで、経済学者はさまざまなことを意図的に無視して論理を構築している。中には非科学的な前提もある(※)。
でも、どの学問だって、はじめはそうだった。
科学の王者、物理学でさえ、「4大元素」論から始まって、錬金術の時代を経て、燃素説などの珍説をまき散らしながら、少しずつ科学的におかしい前提を取り除き、やっとのことでニュートン力学、相対性理論、量子力学にたどりついた。その間にほとんど3,000年をかけている。一方、経済学は重商主義の時代から数えてもたかだか500年にすぎない。今、必死で非科学的な部分を取り除く作業を行っている最中なわけだ
もう一つは、ツールとしてレガシーな理論を使うのはありだということだ。
子供に「なぜ毎日お日さまが昇るの?」と聞かれて、相対性理論で説明する親はいない。ニュートンの話や、地動説の話で充分だ。同じく、とりあえず他人を納得させるために、わざわざ高度なミクロ理論やら制度学派やらを持ち出す必要はなくて、もっと「使い古したツール」を使えばいい。でも、「使い古した」ナイーブな均衡論だけを信じてる経済学者なんていない(はず)。万有引力ですべてを説明できると信じている物理学者がいないように。
ただ、そこには取引費用をはじめ、さまざまな前提条件がごっそり抜けおちているのは確か。でも、それは聞く人間が心に留めておけばいいだけだと僕は思う。納得できれば信じればいいし、納得できなければ代替説をだして批判すればいい。
世間の人は結構経済学に過剰な期待を持ってるから、「1年後の景気はどうなる?」「政府の取るべき経済政策は?」「サブプライムどーするよ?」と経済学者に問いかけるけど、それに100%正しい答えを与えられる人なんかいない。良心的な学者なら「こういう理論に基づけば、こう結論できる」と答えるのがせいぜい。「宇宙の起源は?」と聞かれて、物理学者が「ビッグバンじゃね?」ぐらいしか言えないのと50歩100歩かも。
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※ 非科学的な前提は腐るほどある!まず、ホモ=エコノミクス(経済学的に合理的ですべての情報を持ち瞬時に正しく商品を選好できる)なんて存在しえませんから。そんなことは(まともな経済学者なら)経済学者自身が一番よく心得ている、はず。
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PS: たとえば取引費用ならばすでに約70年研究が進められており、さまざまな成果がある((新)制度学派の話とか面白いと思うんだけど)。でも、TVのコメントやブログの1エントリーレベルでそんな話をしてもみんな「?」なわけで、簡易なツールで済ますわけです。
ただ、前提条件を巧みに隠蔽して議論を進めたり、実は知らないで話を進める専門家もいる。それをおかしいと思えるのはとっても大事だ、と思うデスよ。
最近はやりの「統計のウソ」とか「あやしい会計の真実をあぶりだす」とか「一見論理的に正しそうな詭弁をあばく」とか、そういう系の新書の「経済学版」なんか出したら結構売れそう。
PS-2: いつかすべてが「デタラメ」ではない理論で完璧に説明できるようになるのだろうか。その理論は僕は理解できるのだろうか。レオナルド=ダ=ヴィンチは万能の天才だったけど、「累乗」の概念が理解できなかった。
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