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漢文がふたたびマイブーム

Eternal teacher / 萬世之師

中学・高校の頃は漢文が結構好きで、図書室にある歴史書を白文で写し帰って家で読んだりしていた。とはいえ、おもしろそうなところつまみ食いで、最初から最後まで読破したのは十八史略ぐらいなものだ。

なぜそこまでハマったかというと、中国の歴史はスケールがでかくてドラマチックっていうのもあるんだけど、やっぱり「漢字」の表現力というのが大きかったように思う。

たとえば、「掬す」という言葉がある。
「(手でモノを)すくう」という意味だ。
字の形をよく見れば、手(手ヘン)で米のようなツブツブを囲っている様が描かれているのがわかる。これが『春秋左氏伝』にかかればこんな感じになる。

晋人、二子の楚の師を怒らせんことを懼れ、軘車をして之を逆へしむ。潘党其の塵を望み、騁せて告げしめて曰く、「晋の師至る」と。楚人も亦王の晋軍に入らんことを懼れ、遂に出でて陣す。孫叔曰く、「之を進めよ。寧ろ我人に薄るも、人をして我に薄らしむること無かれ。詩に云ふ、『元戎十乗、以て先づ行を啓く』とは、人に先んずるなり。軍志に曰く、『人に先んずれば人の心を奪ふ有り』とは、之に薄るなり。」と。遂に疾く師を進め、車馳せ、卒奔り、晋軍に乗ず。桓子、為す所を知らず。軍中に鼓して曰く、「先づ済る者に賞有らん」と。中軍下軍、舟を争ふ。舟中の指掬す可し。

晋国は楚国を攻めたが逆襲に遭う。逃げるにも河が退路を阻み、船を奪い合う有様だった。兵士は必死に船縁に手をかけるが、船上の兵は情け容赦なくその指に剣をふるう。とうとう、舟はその切断された指でいっぱいになり、手ですくえるほどになった。

「掬す」の「米」が血まみれの指の関節に思えて、読んだ時はちょっと夜眠れないぐらいのリアリティを感じたものだった。

まぁ、なんでこんな話を思い出したのかというと、最近こんな本を読んでいるからなのだ。

山海経―中国古代の神話世界 (平凡社ライブラリー) 山海経―中国古代の神話世界 (平凡社ライブラリー)
高馬 三良
平凡社(1994/01)
価格:¥897
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山海経ってのは古代中国の地理書なんだけど、ほどんど神仙世界の旅行ガイドブックと化している面白い本だ。さまざまな山や国の地理とともに、そこに住む神獣や魑魅魍魎について記述されている。その名前もほとんど意味不明だけど、かえって字の作りや前後の文脈から姿かたちを想像する楽しみがある。ずーっと興味はあったんだけど、手は出さずじまいだったので、久しぶりに漢字漢文の世界を楽しめる感じ。ほとんど読み下し文っぽく書かれているので、返り点やらが苦手な人もとっつきやすいんではないかと。

人の顔、牛の体を持ち、赤子の声でなくとかいうけったいな獣が、食べると「イボに効く」とか「火事除けにいい」とか「めまいが治る」などと説明されているのを読むのは、ニヨニヨと楽しい。

西遊記やら封神演義などが好きな人が背景世界を知りたいときにもいいんじゃないかな。『十二国記』でおなじみの饕餮とか鹿蜀なんかも出てくるし、『もののけ姫』に出てくる猩々も冒頭で出てくるよ。食べると速く走れるようになるらしいので、陸上選手などにはおススメですヨ。

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