- 2008-10-03 (金) 10:25
- Opinion
AIG が救済された理由は、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を大量に抱えていたためだ。リーマンが放置されて、ベアが救済されたのも、CDSを抱えていたか否かが問題であったらしい。
では、CDSとはなんだろうか。
簡単にいえば、お金を貸した時の保険だ。
たとえば、A社がB社に巨額の融資する。
A社はB社が破たんするのが怖い。
なので、これを保険化して、C社に売る。
(A社はC社に保険料を定期的に払う代わりに、
万が一B社が破たんした際はC社がその損失を肩代わりする。)
貸し倒れのリスクを軽減できるうえ、CDSがあれば比較的危険な融資も可能。CDSは信用を保険し大きくふくらませることのできる打ち出の小づちともいえるかもしれない。
主にCDSは証券会社が金融商品として売り、お金を貸す立場にある銀行が購入する。CDSの市場は60兆ドルほどあるらしい。
ベア・スターンズは証券会社として、金融商品としてCDSを多く扱っていた。AIGも保険会社として、積極的にCDSを扱っていた。CDSは法的に規制されておらず、売買を報告しなくてもよいし、自分の懐具合に構わず売りまくることができるので、好都合だったからだ。
ところで、同じ保険と言っても、自動車事故や火災・病気などの保険と、CDSは性質が全く異なる。
事故や病気は、ほぼ「独立事象」だ。
岩手県の山田さんの自動車事故と、長崎県の佐藤さんの自動車事故には、普通全く関連性はない。けれど、統計を取れば毎年自動車事故の件数・補償額はだいたい決まっており計算できる。だからこそ、リスクを平均化する「保険」というものが成り立つわけだ。(火災保険に「地震による火災」が含まれない理由もここにある)
一方、金融の事故は独立であるとは限らない。
むしろ、連鎖的に破たんするもので、何もない時は何もないが、ひとたび大きな破たんがあると破たんが破たんを呼ぶ。全く関係のない会社の破たんでも、有名な会社であれば心理的な影響も大きく、大丈夫なのかなと思ってしまうのが人間のサガなのだ。波が大きく、いざという時に求められる体力は、事故・病気の保険とは比べられない。
にもかかわらず、AIGはCDSをたくさん抱えていた。
しかも、ベアのような証券会社ならば互いにCDSを売り買いもするだろうが、保険会社なので一方的に溜め込んでしまった。しかも、当局のチェックがないことをいいことに、実力以上のCDSを売りまくってしまっている。後から言うのは簡単だが、一度大規模な金融危機が起これば、破たんは目に見えていた。
だからといってAIGをつぶしてしまえば、CDSで支えられている信用が、急激に収縮していまうのは避けられない…かもしれない。そのことがまた、別の会社に飛び火して…
―というわけであるらしい。知らんけど。
P.S.
いかに優秀な人でも、確率論の初歩すら踏み外すことがある。ましてや、凡人をや。いかに複雑な金融工学謹製の数式も、コンピュータにかかれば一瞬で解くことができるだろう。けれど、そのアルゴリズムを考えたり、初期値をあたえるのは過ちを犯す動物、人間なんだな。
ものごとが高度化したときに、振り返って足元の前提条件を見つめなおせる人なんてそうそういない。みんな日々に追われ、上だけ見てあがいてるのだから。
—
CDSは「金融の核兵器」とまで言われているらしい。強力だけど、使い方を間違えれば10年単位で後遺症に苦しむことになる。でも、そもそもの誕生は「お金を貸すリスクをヘッジする」だけであったはずだ。
「どんなに悪い結果に終わったことであれ、最初は善意から始まったことであった」
うまくいっている時は、常にその前提、そもそもの意味を振り返ってみなければならない。
- Newer: プジョーのスクーター – クルマもイカすけどバイクもイカす
- Older: かける言葉もない。


