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スミスの目。

100点満点。

経済学の父アダム・スミスの思想を解説した本。"経済学の父"という言葉から「規制を撤廃し、利己心に基づいた競争を促進することによって、高い成長率を実現し、豊かで強い国を作るべきだと主張するイメージ」を抱きがちだけど、まったく違うYO ! というお話。

僕は『諸国民の富(国富論)』ぐらいはさすがに読んだことがあるので、そんなイメージはさらさら持ってなかったけど、もう一つのスミスの主著『道徳感情論』は講義で内容を耳学問した程度で、殆ど知らなかった。そう、スミスは経済学者である以前に、道徳哲学者だったんだな。

『道徳感情論』は、「同感(共感)」や「公平な観察者」などのキーワードで有名だけど、それがストア派の哲学を汲んだモノだってのは、本書を読んではじめて知ったかも。

ストア派哲学はギリシャに起源を持ち、"ストイック"の語源であることでも知られるように、運命を受け入れつつ、感情や生への執着を絶ち、徳を高めて「より善く生きる」ことを目指す「強い人の哲学」だ。

そして、スミスの理論を支えるもう一つの哲学がマンデヴィル、ヒュームの自由論、"強欲、渇望、利己心が社会を駆動し、発展させる"という考え方だ。スミスの師ハチスンは自愛心を「弱い人の哲学」としてコレを退けるが、スミスは人には強い部分と弱い部分が同居しているのが常だということから目を背けなかった。

強さは社会の秩序を。弱さは社会の繁栄を。

自分の行為が他人に与える結果を、胸中の「公平な観察者」の目で確かめ、自分の中に内部化し「同感」させる。共感を人々に共通な道徳の高みへと押し上げ、「強さ」を個人個人に蓄積させていく。

一方で、「弱さ」に駆り立てられた人々は、利己心に従い"交換=人と人とのつながり"を通して豊かさを限りなく増大させる。しかし、「弱さ」に基づくつながりはいわば表面的なものであって、内面的な「強さ」に基づくつながりなしでは、ふとしたきっかけであっさり断ち切れてしまうのだ。

利己心と道徳心は絡まりあい、神の見えざる手に導かれて調和へと向かって成長してゆく。(…のか?

少し、本書とはズレた解釈をしてみた。

ここはぜひ、本書や直接スミスの著作にも触れて、なぜ"経済学の父"として敬愛されているのかを感じ取って欲しいと思います。

哲学が万学の母とすれば、経済学は末息子かな。どら息子はちゃんと、父の想い、母のまなざしを忘れずに成長しているんでしょうかね。

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