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「タテマエ賃金」と「ホンネ賃金」

My workload is heavy Photo by risager

おいおい、離職率の高さは単にクソブラック会社を野放しにして好き放題に搾取させてるからだろうが!いかにも学生の職業・勤労観に問題があるような言い方だけど、一番問題があるのは嘘だらけの求人広告で人を集めて、いざ入ってみたらクソブラックのくせに「ああ、あの求人広告は建前」とかホザイてるクソ会社だろ? しかも「社会人wなら仕事を優先させるのが当たり前」みたいな社畜の価値観を押し付け、サビ残、休日返上でろくに休みも与えず、クソ労働環境で理不尽だらけの我慢大会を課せば3年も続く方が奇跡だよ。まあ、この35・9%の多くはキャリアアップみたいなポジティブな理由でヤメたんじゃなくて、我慢の限界まで追い込まれてヤメたり、心身ともボロボロになって逃げるようにヤメたってのは想像に難くないよな。

入社3年内の離職率35.9%――指導が必要なのは学生ではなくクソ会社w。 ニートの海外就職日記

法律でクソ会社を規制すれば万事解決!

―だったら、世の中誰も苦労しないよねぇ……そこが問題なんじゃないだろうか。そんなことしたって、キリがない。しかも、経済学的にもびみょーな結果になるのが示唆されてるわけで。それを無視した議論をしてもなぁー、とか思う。

世の中の賃金には、「タテマエ賃金」と「ホンネ賃金」の2種類がある。そんなことは誰も言っていないが、今、僕が決めた。具体的にはこんな感じだ。

タテマエ賃金 - 額面としての賃金。社会的に「これぐらいが妥当だろ?」と思われている賃金水準。

ホンネ賃金 - 純粋に需要と供給で決まる賃金。雇用者の権利やら、飯が食えるかとか、最低限の生活を送る権利とか、そんなのお構いなしに決まる理論的な賃金。マルクスはこれを「家に帰って飯食って次の日も会社に来れるギリギリの賃金」と規定したけど、現代の経済学では「需要と供給のバランスが取れるところ」で決まるとしている。

理論的賃金は、表には表れてこない。ただし、いくら経営者が頑張っても「無い袖は振れない」わけで、長期的にはこの賃金水準に収束するように経営環境が圧力を加えてくるわけだ。つまり、キツいとか、キタナいだとか、キケンだとかということはホンネ賃金は関係ない。ただ、社会的には「3Kにはお金を多めにあげるべきだ」と一般的に認められているから、ガテンの給料は多少イイだけの話。需給関係(ざっくりそう考えておけばいい。違うけど)のみがホンネ賃金に影響し、経営者が払えるのはホンネを言えばホンネ賃金の方だ。

でも、いまは多くの会社で タテマエ賃金 >>> ホンネ賃金 なのが実情だろう。そして、しょうがなく(もしくは、一部には故意に)ホンネ賃金しか払えない。または、サービス残業などを駆使して、実質タテマエ賃金(額面ではなく手取り)を限りなくホンネ賃金に近づけている会社。要はそれがブラック会社なわけだ。でも、ほとんどの経営者は頑張ってると思う。でも、どうにもいかんしがたいのだ。基礎工事の人件費(保険、経費、通勤費、残業すべて込み)を20,000円/日以上で見積もり出すと突き返されたりな。もちろん、他を細工して捻出するわけだけど…工期延長などトラブルが起こればすべて思惑が外れるわけだ。ほかの業種でも50歩100歩なのは、簡単に想像がつく。いくら「べきだ」といっても、それはかなえられない「べき」なのだ。

さてはて。愚痴は置いておいて。

ここで、法律で最低賃金を保証したり、サービス残業撤廃をうたって監視の目を厳しくしてみよう。すると…

001

実質賃金の上昇 → 雇用量が減少、失業が増えます。ただでさえ乖離しているタテマエ・ホンネの賃金差を、むりやり広げようっていうのだから方法論に無理がある。

では、どうやればタテマエ賃金とホンネ賃金を近づけるか…という話になる。従来、日本ではこの努力を個々の企業、個人の努力に任せてきた。けれど、それももうほとんど改善の余地はない。これ以上がんばれって言っても、もう無理だろう?

確信犯的なブラック企業もいるだろうが、大概のブラック(?)会社はこんなもんだろう。

モノが売れない、見積もりが通らない → 値下げ努力 → もう削るところがない → 人件費圧縮・サービス残業の増加 → 社員の不満 → パフォーマンス低下 → 業績悪化 → 経費削減 → 削るところがない → 以下、エンドレス

その解決策として、「人為的にインフレを起こして景気を良くしよう」というのもあるけれど、これはこれで個人的には微妙だと思う。教科書的な理論では確かにそうなんだろうけど、実際"貨幣性"というものは紙幣や硬貨以外にも簡単に宿る(バブル化)わけで、きっとうまくいかないと思う。

ワークシェアリングという人もいる。でも、残業などで実質的な賃金を抑える今のやり方は「社会全体でワークシェアリング(賃金・労働時間を我慢して、みんなが雇われる状態を作ること)やってるようなもの」とも言える。だから、いまさら会社単位でワークシェアリング導入するってのもね。

んじゃ、どうすればいいのか。

個人的には、ベーシック・インカムとか負の所得税を導入して、ホンネ賃金に「ゲタ」を捌かせればいいのではないかと思う。ついでに、最低賃金制度も撤廃する。タテマエ賃金にしがみつくんではなく、「ゲタ」+ホンネ賃金でみんな勝負すればいいよ。

・もらえる賃金は多少下がるだろうけれど、月ごとの家計収入は減らない、あるいは増えるだろう。生活保護は撤廃する。国民全員が「平等な」額の生活保護を受け取るのだから、制度存続の意味がない。

労働に対するリターンは確実に下がる。みんなホンネ賃金で支払うからだ。特に、誰でもできる簡単な仕事はとても時給が下がるだろう。これは今までの習慣から照らし合わせれば、結構つらい。コンビニの時給が500円になったも働く気は起きるだろうか?

・けれど、逆にブラック企業だけどやめられないということも減るだろう。やめても、国から毎日定額給付金がもらえるのだから、わざわざブラックな仕事に固執する意味もない。失業保険は撤廃する。その分、手取りは多くなる。

・また、技術・熟練を要する仕事や、長期で働いてほしい場合には、現状より高いプレミアムを企業は払うだろうと予測できる。ならば、もっと社会人の向学心が芽生えるかもしれない。

・月々最低限のお金が入るならば、働いてばかりではなく、ボランティアなどにお金を振り分けてもいいかもしれない。なにもお金が絡む労働だけが尊いわけではない。趣味の集まりも増えるかもしれない。そうすれば、そこには新しい市場も生まれるだろう。

・また、賃金が安いとちょっとしたことで人を雇いやすくなる。マッチングは難しいが、遠くない将来、Twitter で「時給400円で庭の手入れ手伝ってほしいなう 手作りクッキーつき」とつぶやくだけで、「了解なう」と答えてくれる閑人を捕まえられるかもしれない。んー、家で寝てるという人も多いかなw

少子化対策にもなる。もちろん、月々のお金は、「赤ちゃんにも」支払われる。これが自動的に育児保障になるだろう。産休制度のない職場(派遣、アルバイト)でしか働けない人にとっても助かるだろう。成長したら給付金は奨学金的な意味も持つ。教育保障としても多少は役に立つだろう。

・最後に。BI・負の所得税のもっともすぐれているところは、サイレントな弱者にも保障が行き届くことだ。日々の生活に追われていたら、のんきな左翼みたいに平日の真昼間からデモなんかできない。けれど、給付金制度があればそんな人たちにも必ず保証がいきわたる。これこそ、本当の保障ってやつだろう。

もちろん、最後の難関は財源だ。しかし、これも楽観できるのではないかと個人的には考えている。

まず、年金などの改革も同時に行うことで、福祉・保障にかかわる役所・外郭団体などは大幅に整理できる(がゆえに、導入には政治的な超弩級の難関が予想される)。厚生労働省は社保庁1つのレベルにまで圧縮できるはずだ。整理した役人は基本的に優秀な人なので、別に自分で事業を起こしたり、就職先を見つけるのは簡単なので、放っておけばよいよね。反対されるだろうけど。保障・保護が権威を生み、自由を狭める。

しかし、まさにその効率性が原因で、負の所得税はどこの国でも実施されていない。大量の官僚が職を失うからである。現在の非効率な「福祉国家」では、移転支出のかなりの部分が官僚の賃金に食われている。それを一掃して負の所得税に一本化すれば、現在の生活保護よりはるかに高い最低所得保障が可能になろう。フリードマンは、やはりまだ新しい。

負の所得税 – 池田信夫 blog

次に、給付金制度が新しい市場を生むことにも期待できる。労働のコストが高すぎるため人を雇えないベンチャーでも、人を雇うことができる。みんなが力を合わせて急成長すれば、あとで安い給料分を取り戻すことも可能だろう。でも、それも「芽」がふかねばありえないお話で。基本的な生活に余裕が出れば、趣味・ボランティアも活発になり、それを土台とした市場も生まれるかもしれない。もちろん、それで税収も増える。

もちろん、2番目なんかは完全な皮算用だけど…、個人的には給付金制度があればもっとフリーダムな世の中になるのではないかと思うよ。そりゃ、いいことばかりではないけれどネ。いまのどよーんとした世の中よりは、もっと自由なほうがいい。むしろ、どよーんとしてるからこそ、自由でありたい。変えていきたい。BIはその基礎になるんではと期待するわけです。

まぁ、BIじゃなくても、やっぱり制度的な解決のマインドって大切だと思いますよ。

「精神論」をいくらやっていても問題は解決できない。必要なのは「制度論」なのだ。

もしクソ仕事さんが、「日本の会社は徹底的に規制せよ」というのであれば、それは「制度論」になる。私のほうは、「規制をなくせ」という「制度論」なのだから、完全に反対になるが、それはそれで議論になる。

「精神論」より「制度論」を – Zopeジャンキー日記

P.S.

最近、特殊な3つの商品、貨幣・土地・労働力だけはなにか人為的な仕組みでコントロールせねばと考えるようになってきている。ただし、新自由主義的な立場からの目線で…というより、規範じゃなく経済理論的な目線で。

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