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[メモ] 共和主義な発想とは…?(2)

あなたはフィレンツェ人たちのたいへんな志操堅固さを、またそれがこのように作られた共和国を愛するがゆえであることを、間違いなくご存じでしょう。あなたのご主人の志操堅固さは、たとえ偉大極まりないとしても、束の間のモノです。なんとなれば、それは一人の人間の生涯の間しか安定できぬからです。しかし共和国は続くのです。

カヴァルカンティ『フィレンツェの歴史』

共和国は永遠ではなく、いつか命尽きるものだけれど、
それは1個人の寿命よりは永いだろう、というより、永くあるべきだろう。

共和国は、その構成員による力量、不断の努力やコミットメントによって成り立つ[1] が、その構成員の生死そのものには依存しないし、依存しないある種無機的な"システム"であるべきだ(が、構成員を惹きつける魅力は備えていなければならない)。

シーシュポス(Σίσυφος)は独りで岩を支えたけれど、共和国においては"みんなの力"[2] で支える。しかも、その"みんなの力"とは、父が力尽きれば子が肩代わりし、子が離脱すれば孫が参画する類の、出入りはあるが平衡は保つ、そんな力を指している[3] 。そして、"みんなの力"はなるべく匿名であるべきだ。寿命を持つ個人へ依存することは、共和国の維持という面で非常に危険だ…が、実際には避けることはできない。

「個人の力量に依存した存在」と「特定の個人にしてはならない存在」。この矛盾の解消は、『依存の対象が多ければ多いほど、ヒトは自由である』という一見逆説的な心理であり、システム論的には君主国の否定・混合政体論であり、思考論としては共和主義的モラルの共有なのだろう。

共和主義的モラルで僕がいつも思い出すのは、古代ローマの独裁官キンキナトゥス[4] の故事だ。

imageまだ、ローマが生まれたての弱々しい都市国家であったとき、強力な蛮族(彼らから見れば)が襲うという出来事があった。それ自体はとくに珍しいことではないが、より事態が深刻であったのは、外交政策の失敗によりアエクイ族、ウォルスキ族という2つの部族による挟撃を受けたことだった。

そこで、ローマ元老院が文字通りの"全権"を委任したのがキンキナトゥス。かれは平和に畑を耕す生活をしていたが、独裁官就任の知らせを受けると軍団を率いて出陣し、瞬く間に蛮族を殲滅した。そして、戦闘が終わるとすぐさま、任期半年の独裁官を辞任した。独裁官の就任期間はたった16日であったという。

# 共和主義的精神=力量のある個人が永続的な"システム"を維持する"匿名な権力"に徹すること

  1. これは往々にして"愛国心"としてあらわれるが、排外主義的な性質は持たない…と思いたい。 (*)
  2. どうせ自覚的ではないんだろうけど、"みんなの党"はなかなかいいネーミングなのではと思っている (*)
  3. はやり言葉で言えば、『動的平衡』とでもいうの? (*)
  4. ルキウス・クィンクティウス・キンキナトゥス(Lucius Quinctius Cincinnatus, 生没年不詳、紀元前6世紀) (*)
  • junatLA
    10数年前に仕事の関係でサン・アントニオ市を訪ね、アラモ(アラモ砦の攻防)を調べた時にアメリカの歴史に興味を持ったんです。
    それまでは、やはり日本の世界史程度の知識しかなく、ボストン茶会事件とか、独立宣言とか、南北戦争とか、そんな程度の認識しか無かったんです。

    ところが、調べれば調べるほどアメリカ合衆国って凄く興味深い政治形態と歴史を持つんですよ。
    えてしてアメリカ史というと最初の13コロニーの独立や南北戦争が脚光を浴びるんですけど、アメリカ独立後の、連邦が拡大していく過程(各地の共和国が続々と連邦に加盟していく過程)というのがとても興味深いんです。

    現在も、連邦と州の関係を理解するには相当頭を柔らかくしないと理解出来ないほど、日本人の常識からはかけ離れています。

    そう考えると、日本人って(僕を含め)単一国家の『中央と地方』という縦構造に完全に洗脳されているという事にハッとさせられてしまいます。
    (これって、他でコメントした教育のシステムも同じなんですが・・・)

    アメリカ連邦って国連(や街の商店会や商工会議所)と似ていて、あくまで各加盟国と連邦であって、日本のように『中央と地方』『親と子』『本社と支社』『部と課』じゃないんです。

    連邦には刑法や道交法などがありません。
    どんなに沢山の人を殺しても、それは州法の管轄で州の最高裁判所が最終判決なんです。
    複数の州をまたいだ犯罪や、基本的人権法(連邦法)や憲法などに違反した場合だけ連邦裁判所の管轄になります。
    州によっては独自の憲法を持っている州も多いです。


    ちなみに、警察の機構も日本人の常識で理解しきれない構造になっています。
    連邦の各警察機構
    http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_United_Sta...
    各州の警察機構
    http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_U.S._state...
    を合わせると、軽く1,000を越える独自の組織が存在すると思えます。

    限りなくEUの20年後、30年後に似ているような感じがします。
    そんな政治形態の国って、(今のところ)他には無いような気がするんですよ。
    独立後の歴史を調べて、やっと理解出来るようになりました。
    (アメリカ人でも理解出来ていない人は結構居ます・・・・笑)
  • >アメリカ連邦って国連(や街の商店会や商工会議所)と似ていて、あくまで各加盟国と連邦であって、日本のように『中央と地方』『親と子』『本社と支社』『部と課』じゃないんです。

    そうだろうと思います。
    というのも、アメリカは「小さな社会(ピラミッド型の階層社会:政治的社会)」ではなく「大きな社会(ネットワーク型の自律的社会:経済的)」を内包してい…と思うからです。それに違和感を覚える人も多いですが、「小さな社会」を脱したことこそがアメリカの強みなのではないかと僕は考えています。そこでは伝統よりも、新奇性・多様性・個人の自立性が重んじられているのではないかと。

    なにもアメリカのやるとおりにやる必要はありませんが、日本なりにそういうエッセンスを体得できないものかなぁ…と思っているのですが、なかなか先は長いです。

    ---
    >限りなくEUの20年後、30年後に似ているような感じがします

    僕はEUが何10年たとうと、根本的な変化がないとアメリカには到達しない気がします。右派も左派も「小さな社会」の理論にハマってしまっているので。
  • junatLA
    古い記事に次々とコメントして恐縮です(興味深い記事が多いので・・・)

    > 共和国は永遠ではなく、いつか命尽きるものだけれど、
    それは1個人の寿命よりは永いだろう、というより、永くあるべきだろう。

    カリフォルニアがメキシコから独立してカリフォルニア共和国が発足したのが1846年6月14日
    アメリカ連邦自治地区となったのが同1846年7月9日
    共和国の寿命としては、3週間という異常に短い期間でした。
    (アメリカ連邦へ州として加盟したのは4年後の1950年ですが)

    テキサス共和国やオレゴン共和国も似たようなものだったと思われます。
    (テキサス共和国がアメリカ連邦に加盟したのは共和国独立9年後)
    USAという連邦自体の歴史が短いので、それを構成する(旧)共和国はどれも異常に短い寿命でした。

    私が感じる疑問は、「なぜ北米各地の共和国が次々とアメリカ連邦に加盟していったのだろう?」という点なんです。
    ソビエト連邦や中華人民共和国などのように、力でねじ伏せて無理やり領土化していった(一種の侵略)というのとは違い、アメリカ連邦へ加盟した共和国は(私が知る限り)ほとんどが自由意志で連邦に加盟しています。
    (今のEUがそうですね)
    ただ、48番目の州アリゾナは、アパッチの酋長ジェロニモが「これ以上連邦に抵抗しても無駄に同族の血を流すだけだ・・・」と泣く泣く降伏したという歴史がありますから、蝦夷共和国(はこだて戦争当時の佐幕派)と同様に連邦(各藩連合軍)に力でねじ伏せられたとも言えるかも知れませんが・・・。

    カリフォルニア共和国、テキサス共和国など多くの北米共和国が、なぜ独立国家としての道を選ばずに自ら連邦へ加盟する事を選んだのか・・・・
    それは今のEU内の国家の選択と似ているのかも知れませんね。

    そして、東アジア共同体が発展したら、いつか(EUやUSAのように)東アジア連邦が誕生するのだろうかなんて妄想も抱いています。
  • どもどもー

    残念ですけど、まだルネッサンスで止まってます…。次はイギリスの共和主義(ハリントンなど)を経由して、そのあとアメリカの共和主義に行く予定なので、まだまだアメリカは先かなぁー

    実はアメリカの歴史にはとっても疎い(高校の世界史レベルしか知らない!)ので、合衆国成立以前にそんなに共和国があったことにちょっと驚きです。ちょっと頭の片隅に置きながら、これからおべんきょを続けていこうかなーと思います。

    ---
    なぜ中国が春秋戦国から秦漢へ統一されなければいけなかったのか、なぜ欧州が"ヨーロッパ"という共通の土台を持ちえるのか、といった問題は面白いけれど、んー、結論はないような気もします。後付けでならいろいろ説明がつきそうですけど、それは現状の肯定に過ぎないかな。――どの例も、一度長期間統一的な武力によって支配された歴史があるのは面白い点ですが(ヨーロッパで言えば、ローマ帝国とカトリックですね)。
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