- 2010-02-04 (木) 0:07
- Review
三国志の本は腐るほど出てる。でも、数ある三国志のなかでも、宮城谷さんの三国志はいちばんおもしろいと思う。一番いいのは原資料のリズムを一番ダイナミックに伝えているところ。
「賊臣が乱を起こし、朝廷は播蕩している。四海は俄然となり、固志のある者はいない。わが身は宗室の遺老であり、みずから民衆と同化することはできない。そこで天子に使者を送り、臣下としての忠節を奉りたいが、どうすれば使命を辱めない士を得られようか」
こういうリズミカルな漢文的なリズムで読むだけで、なんかノッてしまうんですよね。中島敦とかが好きだけど、それより少し軽い感じでどろどろっと読める(『李陵』の出だしを音読してみよう。とってもリズムがいいから!)。宮城谷さんの魅力は、漢字に対するセンスの良さだと思う。少々ウザい時もあるけど、物語で時々立ち止まって本来の意味に立ち返り、言葉に対する意味を改めて噛みしめられる感じは嫌いではないですよ。
中学生のころ吉川三国志から、演義、正史にも入ったたぐいだけど、そこで築き上げ垂れた三国志の群雄像が突き崩されるような、そんな新鮮な人物の切り方が楽しい。たとえば、呂布。通り一遍の理解では、猛将だけど裏切り癖があるみたいな感じだが、宮城谷三国志では純粋で宗室に対する忠誠に厚い、というより「認められたい」という点については一途な人物として描かれている。なんとなく、それはそれで説得力がある(ハチャメチャな割に、流浪期に寝首がかかれなかった点とか)ので、同情、ひいては物語に引き込まれてしまう。
要は、オススメ。完結するまで楽しめそうだ!


