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戦後世界経済史―自由と平等の視点から

戦後世界経済史―自由と平等の視点から (中公新書)
猪木 武徳
中央公論新社 ( 2009-05 )
ISBN: 9784121020000
おすすめ度:アマゾンおすすめ度

なんとなく買った本だけど、これもアタリ。

20世紀の経済史をザラッと見直そうぜ!という本なんだけど、単にそれにとどまらず、ちゃんと問題意識をもって、最近の研究を援用しながら解説されているのがとてもいいと思った。一応通読したけど、復習がてら前書きに挙がっている著者の"5つの論点"を振り返ってみる。

  1. 市場化される分野の拡大と公共部分の肥大化(自由・市場 vs 平等・政府)
  2. 世界規模での市場の拡大、グローバリゼーション
  3. 格差の問題、国家内および国家間、性別、年齢別、産業別、企業規模別…
  4. グローバル・ガバナンス(国連、GATT、IMF…)
  5. 市場をいかにデザインするか

市場というのは所詮、生身の人間が動かすものだ。経済モデルとして記述するときも、所有権の概念、個人の信用、契約の履行、それらの前提となる各種技術・法をはじめとする制度を前提としている。そういった意味で、経済学とはその時代や産業レベルに依存した"特殊理論"に過ぎない。フリードマンのやり方はアメリカで通用しても、チリでは通用しない。なぜならば、理論の前提となる制度の熟成度において、両者の間には無視し難い溝があるからだ。

20世紀は、技術と制度が高度化した世紀だった。
しかし、高度化できたのは「約束は守る」という基本的なルールが内部化した文明人たち、「さまざまな意見を受け入れる」素地をもつと同時に、「人々のインセンティブを妨げない」制度を構築した国家だけだった。個々人の努力が"足し算"だとしたら、健全な交易と社会分業は"掛け算"。その"掛け算"を如何にスムースに・多く実現するかが豊かさと成長の速さを決めるのかな、などと感じた。(多少、我田引水だw)

その一方で、自由は制度を破壊するかもしれない。
行き過ぎた自由は、それが制度に支えられていることを忘れてしまう。また、自由が豊かさを生み、豊かさの影で格差が生まれ、格差は絶望的な暴力を生み、最後には制度を破壊するかもしれない。自由主義経済が世界を覆えば、身近な絆や文化的な多様性はかえって失われるかもしれない。それらに対抗すると称して作られたグローバルな枠組みが、一部の先進国に牛耳られてはいないだろうか。

自由を奉じてはいても、その負の部分は忘れてはいけないと思う。

その他の論点としては、ISI (Import Substituting Idustrialization: 輸入代替工業化) とEOI (Export-Oriented Industrialization: 輸出指向工業化) 、経済学の発展は保護主義と不況下での金融引き締めを退け21世紀の金融危機を救ったのか…なんかは興味深かかったかな。また忘れかけた頃に読もうと思う。

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