Home > Tags > Book

Book

『戦略的思考の技術』

戦略的思考の技術―ゲーム理論を実践する (中公新書)
梶井 厚志
中央公論新社 ( 2002-09 )
ISBN: 9784121016584
おすすめ度:アマゾンおすすめ度

そんなに新しい発見はないだろうとは思っていたけど、なんとなく手にとってみた。

結構面白い。「囚人のジレンマ」とか「ナッシュ均衡」とか、ゲーム理論でおなじみの用語は一切出てこないけれど、"日常でありそうな風景"をマシンガンのように繰り出しながら、「戦略とはなにか」というのがなんとなく分かるように書かれている。きっと、この先生の講義も面白いんだろうなーって思う。

ちょっと例としてどうかなーと思う話もなきにしもあらず[1] だったけど、まぁ、あんまり細かいことを考えずになんとなく愉しめばいいんじゃないかな。

直線的な思考に固まりがちなヒトには、とくにおすすめな本だと思う。

  1. ヤフオクが繁盛するのはロックインとかスイッチングコストもあるけど、やっぱりネットワーク外部性だよねーとか (*)

社会思想史を学んでみた。

社会思想史を学ぶ (ちくま新書 819)
山脇 直司
筑摩書房 ( 2009-12 )
ISBN: 9784480065261
おすすめ度:アマゾンおすすめ度

所々得るものはあったけど、全体的によくわかんないなぁーといった感じで読み終えた。

やたらたくさんの思想家の名前が出てくるのと、その思想の解説がさらっとしていて雰囲気しか伝わってこないこと[1] 、なんだか唐突に筆者の意見が出てきて[2] 「へぇ、そうなんですか…先生がおっしゃるならそうなんでしょうけど…」という感想しか持てなかったりするところが原因なのかもしれない。

はっきりと言えば、あんまり歴史っぽくなくて、むしろ地理を勉強したような感じ。それが期待と違っていて、肩をすかされた気がする。

もっとも、最大の原因は、僕の社会思想に関する知識の無さにあるんだろうけど。なので、いつも机においておいてたまに地図を眺めるみたいに楽しもうかなーと思う。 こういうのがちゃんと脳みその引き出しに入っていれば、世の中の見方もだいぶ変わるんだろうなって感じた。

  1. 「~と言えます」みたいな感じのノリ (*)
  2. 「~のように思われます」みたいな感じのノリ (*)

神聖だるやなぎ帝国

神聖ローマ帝国 (講談社現代新書 1673)
菊池 良生
講談社 ( 2003-07-19 )
ISBN: 9784061496736
おすすめ度:アマゾンおすすめ度

神聖ローマ帝国、と自らを呼んだ、そしていまだに呼んでいるこの政体はいかなる点においても神聖ではなく、ローマ的でもなく、帝国でもなかった。

ヴォルテール『歴史哲学序論 諸国民の風俗と精神について』

最近、たまに歴史の本をよむようになった。読みやすい新書ばかりだけどねw
それも、とくに高校時代にあんまり習わなかった歴史。

ってことで、今回は「神聖ローマ帝国」。きっかけは、明日アメリカへ留学する新鋭法務官僚のY氏が「最近、ウェストファリア条約の条文読んでるんだよねー面白いよねー」とか言われたけど、そのウェストファリア条約が何かすぐに思い出せなかったこと。あぁ、高校時代は歴史ヲタだったのに!

でもさ、高校の世界史って神聖ローマ帝国は結構スルーしてるよね。いいところ、オットー戴冠、"カノッサの屈辱”、イタリア政策、ハプスブルグ家、カール1世、オランダ独立戦争、シュヴァーベン戦争、宗教戦争、ドイツ農民戦争、三十年戦争、マリア=テレジア程度の単語を習う程度じゃないだろうか。もしかしたら、バルバロッサとかシュマルカルデンとかホーエンツォレルンとかいう言葉も聞いたことがあるかもしれない。とにかく、「で、神聖ローマ帝国ってなんなのさ!」という視点ではあまり習わなかったと思う。

本書は、そういう「高校の世界史」が欠けている部分を補ってくれる好著(僕にとってはね!)。なぜ「神聖」なのか、なぜ「ローマ」なのかを中心に、帝国の盛衰を説く。

  • 11世紀まで – ローマ帝国(または単に帝国
  • 12世紀 – 神聖帝国
  • 13世紀 – 神聖ローマ帝国
  • 16世紀 – ドイツ国民の神聖ローマ帝国

「ローマ」(当初は「≒帝国」)を受け継ぎ、「神聖」(キリスト教的権威)を取り込み、しかし独立戦争と宗教戦争で断ち切られ、残り物が「ドイツ」になっていく。それが「神聖ローマ帝国」の歴史だったようだ。

よく考えれば、ローマ(古代)的なものと中世キリスト教(神聖)的なものは相容れない。それでも、ゲルマン民族の合議主義をつなげるには、なんらかの既存の権威に頼るしかなかった。つまり、そんな既存の権威で継ぎはぎされ、緩やかに繋がる連邦国家としての「帝国」が「神聖ローマ帝国」だったのかもしれない[1] 。

  1. いまでも、「ヨーロッパ」をつなぎとめているのは"ローマ帝国の記憶"だよね。違うかな? (*)

幸福、自由、美徳…そして、「正義」。

これからの「正義」の話をしよう
マイケル・サンデル, Michael J. Sandel
早川書房 ( 2010-05-22 )
ISBN: 9784152091314
おすすめ度:アマゾンおすすめ度

サンデル教授の授業、わしも受けてみたい!…かも。 で興味を持ったので、Amazon で購入。期待通りの知的刺激で、お値段以上、ニトリ。豊富な事例でグリグリと自分の「正義観」がエグり出され、それが古今の哲学者の考えと対比・マッピングされる。読んだ後は到底、もとのままの自分では居られないだろう。哲学ってのは想像以上にヤバい学問なんだのぉ…

筆者によると、「正義」についての論争が巻き起こるとき、3つの理念が中心に展開されていることが分かるという[1] 。要は、こいつらが「正義」の根拠なんだな。

1つ目は、幸福の最大化。

2つ目は、自由の尊重。

3つ目は、美徳の促進。

おお! もうココで、このうちどれを最も重視するかを民主主義的には決定できないんじゃないか?(アローの不可能性定理)。まぁ、それはともかく、サンデル教授はこれをもとに、6種類の考え方を提示している(以下は、ちょっと自分なりに大雑把に分類した)。

  • 幸福+自由=ジェレミー・ベンサムの功利主義。何よりもまず、社会全体の「最大多数の最大幸福」を目指す。
  • 自由+幸福=ロバート・ノージックの自由至上主義(リバタリアニズム)。個人の自由が何よりも優先される。自由こそが幸せ。
  • 美徳+自由=イマヌエル・カントのドイツ観念論哲学。自分の理性で、自分の義務を見つけ出し、そして従え。それが、自由だ。
  • 自由+美徳=ジョン・ロールズの正義論(リベラリズム)。理性による仮説的な社会契約。"無知のヴェール"を想像しよう。そうすれば、平等の概念に従うべきだと知るだろう。
  • 美徳+幸福=アリストテレスの哲学。すべてには目的があり、政治の目的はみんなの美徳を促進することにある。自分に価することをすること、それが幸せだ。
  • 美徳+自由=公共哲学(コミュニタリアニズム)。お互いの自由を極力尊重しながら、単に市場主義的な解決に頼らず、議論による"より善いあり方"を問うていくことは可能だ。

僕は経済学部でお勉強したので、リバタリアニズムの考えに親和的だった[2] 。けれど、それだけでは全部解決しそうではなく、古典的共和主義の考えも重要なのではないかと常々考えていた。そんなわけで、サンデルはいつかは立ち向かわなきゃいけない人だと認識していたけれど、それは正しかったと思った。

ただ、6つの考えの中で、一番ふにゃふにゃしているのは公共哲学であるとも思う。ハッキリいえば、説得力がない。そこは、色んな著作にあたりながら、自分でも練りあげていきたいところだと思う。個人的な考えで言えば、公共主義的な考えには同意できるけれど、市場主義の否定では実りを得られない。議論の結果としての美徳を実現するためのインセンティブ設計ツールとしての市場、つながりで自由と幸福を増進させる市場、といった側面を肯定しながら、公共的な考えも両立できないかなぁと思う。

Continue reading

  1. 第1章より (*)
  2. もちろん、経済学部にはリベラルな人も多いけど (*)

古くネコマ。人家に蓄う小さき獣…

image

ねこ(名)[猫]

古くネコマ。人家に蓄う小さき獣、人の知るところなり、温柔にして馴れやすく、またよく鼠をとらえるので蓄う。しかれども窃盗の性あり、形、虎に似て、二尺にたらず。性、眠りを好み、寒さを恐れる。毛色、白、黒、黄、斑などさまざまなり。その目、朝は丸く、正午は針のごとく、午後はまた次第に広がって、晩は再び玉のごとし。影では常に丸い。

変な国語辞典!

明治時代の辞書で、リズムが良くコミカルな語釈は芥川龍之介にも愛されていたらしい。印刷の文字は非常に小さいのだが、当時からこの大きさだったのだそうだ。届いたときは以外に分厚くて、ちょっと笑ってしまったw

ブックカバーをつけて、暇なときにちょろちょろ読んでみたりしようかなって思っている。

言海 (ちくま学芸文庫)
大槻 文彦
筑摩書房 ( 2004-04 )
ISBN: 9784480088543
おすすめ度:アマゾンおすすめ度

『全体主義』

全体主義 (平凡社新書 522)
エンツォ・トラヴェルソ
平凡社 ( 2010-05-15 )
ISBN: 9784582855227

読む本がなかったのでテキトーに買った。

僕はまだまだ「思想」というのがよくわからない(言葉が分からない、使う人によって意味が違いすぎる!)し、どんな考え方にもそれぞれ一理はあるとおもうんだけど、唯一実現したらイヤな政治思想がコレ。全体主義。

「どの体制よりも普遍的であり、人類の未来にのしかかる大衆の<文明>の脅威である」ヤスパース

とはいえ、全体主義が一体どんな考えなのか、っていうのはイメージでしかつかめていなかったと思う。実際、本書を読めばもっともな話で、論者やその目的意識、時代背景などにより、言葉の使われ方が様々で、全体主義をひとつの明確な定義として表すのは無理であるらしい。

Continue reading

『ゲーデルの哲学』

過去二千五百念を振り返っても、アリストテレスと肩を並べると誇張なく言えるのは、ゲーデルただ一人である。

数学者アンドレ・ヴェイユ

読了。『理性の限界』や『知性の限界』とかぶっている部分も多かったが、やはり興味深く読めた。

ゲーデルは「完全性定理」と「不完全性定理」を証明した。一見この二つは矛盾するように見えるが、前者は古典論理学の完全性を示しており、後者は自然数論の不完全性を意味している。

「完全性定理」によれば、厳密な推論はそれ自体に矛盾を含まない。しかし、「不完全性定理」によれば、最も基礎となる自然数論でさえ、それが矛盾を含まないことをそれ自身では"証明ができない"。その過程にある推論は無矛盾なのだから、これは自然数論、ひいてはそれをもとにしたさまざまな理論自身に、証明不可能な何かが含まれている。自分で自分を完全に説明し尽くすことは、どの理論、どんなヒトでも不可能であるらしい。

これは、理性では到達できないモノが世界に存在するということで、マルクス主義的な唯物論や機械論では説明のつかないことが存在すること、なんでもできるコンピュータはありえないことも導ける。なんてことだ!

『理性の限界』『知性の限界』では、"運動選手"が登場するが、彼がいる理由もわかった。人間は永遠に無限に進歩できる存在じゃなくて、ある一定の限界の中でいかにそれを極めるかに腐心するアスリートだったんだね。

しかし、それは「理性の限界」の限界を表す一方、僕らの可能性を示してくれているとも思う。僕らは「理性」だけではなしえないことでも、「直観」でもって到達できる。

Continue reading

「知性の限界」

とってもおもしろくて、気に入った。哲学の本なのだけど、対談形式になっているから入っていきやすいし、平易な話し言葉で書かれているのもありがたい。

内容は大きく分けて3つ。

  • 言語の限界
  • 予測の限界
  • 思考の限界

とくに、「言語の限界」については知らない話題が多かったので興味深かった。言語は20世紀哲学の主戦場だったらしいのだけど、個人的には意味不明でややこしくて退屈なだけだと感じていたし、ウィトゲンシュタインは変人だと知っていたのであまり近づいたらいけないと思ってた(!)。

けれど、こうやって平易に描かれると、決してテキトーな言葉遊びをしていたのではないのだなぁと実感できる。本書だけでわかった気になるのは危険だけど、興味のとっかかりを得ることはできたと思う。

「予測の限界」は、経済学では避けて通れない話題。本書で触れられている話題程度であれば、どの分野を専攻しているのであれ、当然知っていなくちゃならない。一つでも知らない言葉があれば、ぜひそこから勉強したほうがいいと思う。ポパーの話がちょっと多め。

「思考の限界」の章は、神さまの存在証明の話と、"人間原理"の話が興味深かった。ファイヤアーベントの方法論的アナーキズムという考え方は刺激的。

人間の知は限界に近づきつつあるのかなぁ…と思わないでもないけれど、たとえそうだとしても、立派な哲学者が「人間には限界がある」というのと、飲んだくれのおやじが「人間には限界がある」というのは意味が違う。同じ内視鏡の画面を見ていても、医者はポリープを発見できるが、素人には無理だ。それは、医者のほうがよっぽど豊富な知的バックボーンを持っているから。きっと、哲学者が「限界」を見つめるとき、僕らとは全く違う風景が広がっているのかもしれない。

たとえ結論が凡庸でも、その過程が違えば重みも違う。限界があっても、それにぶつかることでバックボーンを豊かにできる。だから、なんというか、本書でいう限界は「limit」ではなくて、単なる知と不可知の境界線で、最前線で、別に失望する類のものではないと感じた。

本書は『理性の限界』の続編だったらしい。さっそく Amazon で『理性』のほうも注文した。届くのが楽しみだなぁー

ダル・ヤナーギのプレリアル27日

「ヘーゲルはどこかで、すべての偉大な世界史的事実と世界史的人物はいわば二度現れる、と述べている。ただし、彼はこう付け加えるのを忘れた。一度は偉大な悲劇として、もう一度は惨めな笑劇として、と」

本書はあまりにも有名なこの一節ではじまる、"惨めな笑劇"をリズミカルに罵倒・嘲笑し尽くした作品。題名がまたイカしている。甥によって"再演"されたあの日

マルクスといえば沈鬱で重厚な『資本論』のイメージが強いのだけれど、本書は打って変わって、鋭い皮肉で時代をスパスパ切り裂く痛快さが魅力だ。筆が滑りすぎて第2版ではかなりの分量が削除されてしまっているらしいのだけど、この翻訳ではあえて初版が利用されており、美味しい部分がしっかり残っている。

著者がマルクスというだけあっていろんな読み方・解釈がなされると思うけれど、僕の場合は、単純に楽しんで読んだ。それでいいんじゃないかな。"深い解釈"が得たければ、巻末につけられた柄谷行人の解説でも読めばいい。古今の名著からあちこち言葉を借りながら、それっぽく説明してくれているので、何か得た気分がして満足感が高い。

本書を読んで確信したけど、歴史は個人個人の精神が動かす。だって、この本が歴史的必然の結果産まれたとは到底思えず、マルクスの精神のみを父とすると確信できるから。彼の本は多くのヒトを動かしたけど、それも歴史的必然だったんだろうか。

「どこからこれが得られたのか。――どこからでもない。これを諸君が知っていることから導き出すことは不可能である。これはシュレーディンガーの精神から生まれたものだ」(リチャード・ファインマン)

Continue reading

ノルマン騎士の地中海興亡史

ノルマン騎士の地中海興亡史 (白水uブックス)

  • 著者/訳者:山辺 規子
  • 出版社:白水社( 2009-04 )
  • 単行本:325 ページ
  • ISBN-10 : 4560721025
  • ISBN-13 : 9784560721025
  • 定価:¥ 1,365

早く書かないと、感想を忘れてしまいそうだ! たぶん、1週間前ぐらいに読み終えた。

日本では、ノルマン人の歴史にフォーカスを当てた書籍は少ないように思う。本書ではおもに、ノルマンディ公領の成立、ウィリアム征服王によるイングランド制覇、ロベール・ギスカール(ロベルト・ギスカルト)と南イタリア、ロジェールが打ち立てたシチリア王国などを扱っている。これらの通史を知りたいという人にはオススメじゃないかな。

ただ、ちょっと駆け足気味。
すくなくとも、世界史の大まかな知識と、とくにフランス・イタリアの多少の地理的な知識がないと、単なる人物と出来事の羅列に感じて、ツライかも知れない。僕は南伊のチリが少しあやふやだったので、だいぶ復習をするハメになった。カプアは脛で、プーリアはカカトなんだよ?w 歴史面では、直前にビザンチンものを読んでいたおかげで、だいぶ記憶が修復されており、サクサク読めた。ノルマンから読むと、アレクシオスが完全にヘタレ系なのが面白い。

ノルマン人といえば戦士のイメージ[1] だけど、本書を読めばそれだけじゃないのが分かる。特に南伊でのノルマン人は、欧州キリスト教文明とアフリカ・イスラム教文明をつなぎ、独特の文化を育んだらしい。ちょっと中世シチリア史にも興味が湧いてきたかも?

ヴィンランド・サガ (8)
幸村 誠
講談社 ( 2009-09-23 )
ISBN: 9784063145816
おすすめ度:アマゾンおすすめ度

最近、『ヴィンランド・サガ』というヴァイキングの漫画があり、クヌート大王を扱っている。ただし、残念ながら本書では扱っておらず、ウィリアム征服王の家系図の端に少しあらわれるに過ぎない。結構面白いのでオススメ!

  1. ロベール・ギスカールなんかはそのまんまだけど! (*)

Home > Tags > Book

My Friend Feed

http://friendfeed.com/daruyanagi

Google Analyticator

550
 Unique Visitors 
 (1 day) 
Powered By Google Analytics

Return to page top